いわゆる項羽と劉邦の戦い(楚漢の戦い B.C.200)の故事成語である。


  竜(劉邦)疲れ虎(項羽)困しみて川原を割く

  億万の蒼生 性命存す

  誰か君王に勧めて馬首を回さしむ

  真成に一擲 乾坤を賭す

      (鴻江を過ぐ)  韓愈


「乾坤一擲」という故事成語はこの詩から、

         天地をさいころの一振りに賭ける意から、
             のるかそるかの勝負をすることをいう。(成語大辞苑)

         運命を賭して、のるかそるかの勝負をすること(広辞苑)

という意味に用いられる。

 4年に及ぶ漢楚の戦いで劉邦は項羽と戦えば99戦99敗、戦えば負け、項羽も己の力に慢心し部下に裏切られ続け、竜(劉邦)は疲れ、虎(項羽)は苦しんでの状況となり、鴻江を境にして天下を二分し、西を漢、東を楚とする和平の条約を取り決めた。
 このために、億万の民の生命は保たれるはずだった。しかし、劉邦の軍師 張良と陳平は、君王に馬首を回して項羽を追撃することを勧めた。
 そこで劉邦は、乾坤一擲のいちかばちかの勝負を挑んだのだった。

 乾坤とは天と地のこと、一擲は一度にすべてをなげうつこと。
つまり劉邦は天下を賭けて、のるかそるかの勝負にでたのである。
 結果は「四面楚歌」「抜山蓋世」「捲土重来」なで有名な例なごとく、劉邦が項羽を倒して、400年間続く栄光の漢帝国を建てるのである。

 韓愈(A.D.768〜824) は唐宋八大家の筆頭に挙げられる文章家の泰斗で、この詩は
韓愈が鴻江を渡ったとき、漢楚の戦いに思いを馳せて詠んだものである。

 この「さいころの一振りに賭ける意」では、ヨーロッパの諺に有名な「賽は投げられた」(The die is cast)がある。
 ジュリアス・シーザーが政敵を討つためにルビコン川を渡ってローマに攻めいる折、「賽は投げられた」と兵士を前に演説しローマの支配権を確立した。
 シーザーも乾坤一擲の勝負に出て、ローマ帝国の独裁者となるのである。

           サッカーばかりでなく、たまには歴史を勉強しよう!  (^^)